動物が出てくる噺
先日の「桂米二一門会@繁昌亭」の無礼講トークでこんな質問がありました。アンケート形式で紙に質問を書いてもらって、それを仲入りの間に回収してトークで紹介します。それに書いてあった質問です。
「落語の台詞の中で、好きなものはありますか?」
噺家ならみんな思い当たるのがあると思いますよ。この台詞が好き、これを言いたいがためにこの噺をやってる……というようなことが。
私の場合、たくさんあり過ぎて困るのですが、一つの台詞ではなくて、その場面の台詞がみんな好きというのもあります。例えば「天神山」。安兵衛がキツネを助けるところなんか大好きです。私はこのキツネをうちのボックだと思って語りかけてます。無礼講トークでもそのことを言いました。
それを受けて二豆が「寄合酒で犬に鯛をやってしまう場面、ボックに餌をやってるところと同じです」てなことを言うてましたね。あの場面、私は犬に優しく優しくしようと思てしまうんです。こういうことは犬好きなら分かってもらえるかな?
トークでは言いそびれましたが「まめだ」も正にそうです。死んだまめだに膏薬の使い方を「なんで聞いてけえへんねん。なんぼでも教えたるのに」と嘆く場面、ここもボックに語りかけるつもりでしゃべってます。あ、ボックはまだ生きてます。
犬と生活していると、動物が出てくる落語をやりたくなるし、またその登場する動物に優しくしようと思ってしまいます。私の場合は「まめだ」と「天神山」がそれですね。
「まめだ」は今のところ、ネタ出しをしている会はありません。でも、ネタ出ししていない会ではやるかもしれません。「天神山」は春の噺なので、今の時期にはやりません。……と言いながら、やることになりました。
12月11日(日)に「神宮道上る下る寄席」がとりあえず1回だけ復活します。コロナで初の緊急事態宣言が出て中止になった会と同じ演目を出してみました。あれは2020年の4月だったので「天神山」だったのです。春の噺を12月にやる不自然さをお許しください。
明日の「臨時停車の会」では「鷺とり」と「くしゃみ講釈」を出しています。飛沫が飛びまくる「くしゃみ講釈」です。コロナ以後、一切やってません。最近の感染状況を鑑みて、やることにしました。2年半ぶりです。
動物は「鷺」が出てきます。うちの近所に鷺はたくさん居ます。見ているうちに「鷺とり」をやりたくなったのです。鷺を捕まえる噺ですから、どうやって鷺に感情移入しましょうか? ま、それは明日ということで。
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