時間通りにしゃべれたのに
一昨日1日(木)、「NHK上方落語の会」で収録がありました。大きなNHK大阪ホールが満席……と言いたいのですが、抽選に当たったけど来ない人もいるんですね。ところどころ歯抜けながら、ざらっと一杯のお客様の前で「替り目」をやらせてもらいました。
テレビ放送があるのではじめから持ち時間が決まっております。私は28分でした。いつもオーバーしてしまい、編集で切ってもらってます。今回はなんとか時間に収まるようにやりたいと思っておりました。
私の「替り目」、いつもマクラを振ってネタへ入って、全部でだいたい35分ぐらいと認識しています。でも「替り目」本編だけで何分なのか把握していませんでした。
先月20日(土)、奈良古々粋亭での「桂米二たったひとり会」で時間を計ってもらいました。お客様に頼んでです。常連のお客様を便利屋につかってしまいました。「ひとり会」なので楽屋に誰も居ないから仕方ないやないですか。
「26分20秒でした」
ええお客様ですね。秒単位まで計ってくれはりました。普通の噺ならそれでええのですが、これは酒の噺です。酔っぱらいは少し口調を早めるとのと、酔いを強調するためにゆっくりしゃべるのとでは時間が変わってきます。この日はわりとゆっくりしゃべりました。それで26分20秒ですか……。
NHKの放送が28分。マクラを1分半ぐらいにせんといけません。でも3分は欲しい。いつものマクラは5分以上あるのですが、整理したら3分にはなります。ということは本編を1分半削らんならん。それを当日の朝から(前日にはしないのが私の主義)考えました。少し早口でしゃべって、ここの台詞を少しカットして、ここの言い回しを変えたり……。
楽屋入りしてもああでもないこうでもないと考えてました。落語をやる前にこんな考えるなんて滅多にないですね。……もっと考えたほうがええのですが。
トリで高座に上がりました。これで28分に収まるはずと自分に言い聞かせながら。おかげさまでよく受けました。助けてもらいました。気持ち良くしゃべりました。
前に3分前の合図が出ました。お客様には見えないところで時間出しをしてくれるのです。だいたい予定通りで来てます。
「ちょうど銚子の替り目でおまっしゃろ」
舞台袖へ戻って、時間を聞いたら27分半でした。ああ、良かった。これでカット無しで放送されます。あとコメントで少し時間調整もできますから。落語の出来が良かったことより、時間通りできた嬉しさのほうが大きいというのも、放送ならではです。
あと知人たちと軽く飲みまして(時間計ってくれた方も一緒)、天満橋から京阪特急最終1本前で三条まで。寝てたけどうまく目が覚めました。降りて地上へ出て歩き出して気がつきました。衣装が入ってるスーツケースを忘れてるがな。わりと小さめなので網棚へ載せてたんです。
三条駅へ駈け込んで、これこれこういう訳と話をしました。こんなん何回目やろ? ついこの間は文庫本で、ちゃんと戻ってきました。スマホのバッテリー忘れたり、中身の入ってない財布を忘れたり……。今回は今までで一番大きな忘れ物ですな。
「終点の出町柳駅にありました」
最終1本前で良かった。最終に乗って出町柳駅でスーツケースを受け取りました。お帰り!!
もう三条へ戻る電車はないのでタクシーで帰りました。結局、電車賃230円とタクシー代1,600円の損。
私が忘れ物をするのは、たいてい何か仕事がうまくいった時、安心した時です。安堵感が油断を生むようですな。これを防ぐためには、落語が受けないとか、すべらないといかんのですかい? 今の私の芸では、それは難しい(?)ことでございます。
NHKの放送は下記の通りです。変更されることもちょいちょいありますが……。
放送予定「日本の話芸」 7月16日(日) 14:00~ Eテレ
7月17日(月) 5:30~ Eテレ
この記事へのコメント
米二師匠が頭をひねって時間ぴったりにした高座。拝見するのが今から楽しみです!