不定期落語会~高津の富

「高津の富」といえば笑福亭のお家芸というイメージがあります。現に私がこの噺を最初に聴いたのは六代目笑福亭松鶴師匠でした。一文無しの田舎親父に富くじの千両が当たった時の描写は今でもよく覚えております。

ほかには五代目文枝師匠もよくやっておられました。これも迫真の演技でございました。

では私の師匠、桂米朝はやらなかっのか? いいえ、やりました。ただ少ないのです。私が生で聴いたのは2回だけ。1975年1月2日と3日の正月恒例のサンケイホールでの桂米朝独演会でした。私はまだ高校2年生。2日間同じ演目でしたが、私は2日間とも行きました。このうち3日の録音はLP「桂米朝上方落語大全集」に収録されました。今もCDで手に入りますよ。

私の知ってる限りではそれ以後一度もやっていません。つまり私が噺家になってから(もう47年になりますが)一度もやってないと思います。言わばLP全集に入れるためだけにやったとも言えます。

うちの師匠は上方落語の資料が少ないことで苦労し、後世の噺家に同じ苦労をさせないようにと実に多くの資料を残してくれました。私は創元社版「米朝落語全集増補改訂版」の編集に携わりましたが、その時にうちの師匠の「上方落語を残そう」という執念を肌で感じました。ですから、録音を残してレコードになってからはもうやらなかった噺もけっこうあります。この「高津の富」のほかにも「がまの油」とか、……「がまの油」とか、……「がまの油」とか。あれ? ほかにもあったはずやけどなあ。

あまりやらなかったこの「高津の富」でしたが、やっぱり師匠にとって特別なネタであったことは間違いありません。昭和22年に四代目桂米團治師匠に入門したのですが、その時に、ま、手見せのように米團治師匠の前で二つの噺を披露したと聞いています。それが「くしゃみ講釈」と「高津の富」だったんです。もう我々とはレベルが違い過ぎます。私が師匠の前で手見せでやったのは「子ほめ」でしたからね。えらい違いや。

「米朝落語全集増補改訂版」の第八巻に「病牀日記」が掲載されています。これはうちの師匠が入隊したもののすぐに病気になり、陸軍病院に入院していた時の日記なのですが、これによるとほかの入院患者にしょっちゅう落語を聴かせているのです。「たちぎれ線香」のような大ネタも。噺家になる前にすでにたくさんやってはったんですね。だから手見せに「高津の富」ができたんでしょう。

うちの師匠がハタチそこそこでやっていた「高津の富」を、私は還暦を過ぎてからやり出しました。まだ2回しかやっておりません。3回目が明日なんです。

  ☆7月24日(月) 19:00 ~ (開場 18:30)
第75回桂米二不定期落語会/太融寺本坊2F(椅子席)
 梅田・北区太融寺町 📞06-6311-5480
 🚋JR「大阪」🚋阪急・阪神「大阪梅田」🚇Osaka Metro地下鉄「梅田」「東梅田」
 泉の広場上がる 扇町通を東へ200m
「明石飛脚」二豆 「子ほめ」米二 「妻の酒」佐ん吉 「高津の富」米二 糸:福
💰予約¥2,500 当日¥3,000 👪ユース(25歳以下・要年齢証明)¥500
問&予:📱080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
📩PCメール・Yahoo・Gmail等はこちら g-yan@yoneji.com
📩携帯メール(docomo・ezweb・softbank等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
LINE 桂米二予約センター ID:hanashika_yoneji 🔎 08053387331
 大阪での桂米二落語会の原点がこの太融寺の不定期落語会。
 もう少し回数を増やしたいのですが、また久しぶりになりました。
 今回はまだ2回しか口演していない「高津の富」をやらせてもらいます。
太融寺

太融寺地図

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このチラシの画像をスマホの画面で出してもらったら、ご予約なしでも予約料金にさせていただきます。この方法は東京の文治さんに教えてもらいました。

もちろん、ブログ、SMS見たの一言でもかまいません。要するにできるだけ当日料金ではなく予約料金でお入りいただきたいという私の思いでございます。

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