質屋蔵・猫の忠信

「質屋蔵」を初めて聴いたのは「島之内寄席」でした。戦後初の上方落語の定席と言われた「島之内寄席」、上方落語協会の悲願でしたが、月に5日間だけ島之内教会で開かれていました。そこで聴いたのがうちの師匠、桂米朝の「質屋蔵」。「質屋蔵」という落語はタイトルだけ知っていました。サゲをそのままタイトルにするという安易に名付けた落語が多い中、この噺はタイトルを聞いただけで、「いったい質屋の蔵で何が起こるねん?」と興味津々になりますわな。うちの師匠のこの噺が始まった時、すぐに「質屋」と「蔵」という言葉が出てきたので、この噺が「質屋蔵」なんや、とすぐ分かりました。

これが凄く面白くて、素人の時に聴いた中でも、5本の指に入るぐらい印象深いものとなりました。桂米二になる前、澤田正己少年は高校1年生でした。

それから噺家になり、桂米朝の内弟子として修業しておりました。桂米朝の直弟子は基本的に3年間で十の噺を細かく徹底的に教えてもらいます。俗に言う三遍稽古というやつで、厳しい稽古という訳です。旅ネタの「東の旅」から始まって、「道具屋」「子ほめ」などの前座噺、少し長い噺も。中で一つだけ大ネタを教えてもらいます。

3年目に入ってしばらくした頃でした。

「そろそろ大ネタを一つ稽古しようと思うけど、お前、何がええ?」

師匠のほうからリクエストを受け付けてくれたのです。大ネタはまだ先のことと思ってましたし、突然だったのですが、すぐに言いました。

「『質屋蔵』はどうでしょうか?」

大胆なリクエストです。この噺は過去に誰も稽古してもらってません。師匠もちょっと面食らったようです。予想外だったのでしょう。一瞬、間があって、

「ほな、そないしょうか」

ラッキー! 「質屋蔵」を稽古してもらえる。嬉しかったです。これも「間」です。師匠が訊いてくれて、間髪を入れずに言うたから通ったのだと思います。じっくり考えてから言うたのなら、却下されたかもしれません。私が稽古してもらえる大ネタは「質屋蔵」なのです。亡くなった吉朝兄さんも羨ましがってましたね。

「お前、『質屋蔵』か……」

兄さんも稽古してもらいたかったのでしょう。

長い「質屋蔵」の稽古(三遍稽古ですよ)が終わって、その次の噺は「宿屋町」でしたね。それも終わりましたが、年季明けまでにあと一つ教えてもらえます。そんな時に師匠から、

「お前には女の出てくる噺を教えてへんさかい、最後は女の出てくる噺にしようか。何がええ?」

「『口入屋』はどうでしょうか?」

間髪入れずに言いました。師匠は「それも大ネタやないか」と思いはったことでしょう。一瞬、間があって、

「ほな、そないしょうか」

ラッキー! 大ネタを二つも稽古(もちろん三遍稽古)してもらえる。桂米二は意外に要領がええ男なのでした。で、今夜は「質屋蔵」です。

  ☆8月31日(水) 19:00~ (開場 18:30)
第102回桂米二臨時停車の会/京都府立文化芸術会館3F和室(一部椅子席)
 河原町通・🚌市バス「府立医大病院前」すぐ
 🚃京阪「出町柳」or「神宮丸太町」徒歩12分 有料🅿有
 📞075-222-1046 京都府立文化芸術会館
「にわかに」二豆 「真田小僧」ひろば 「向う付け」米二 「質屋蔵」米二 糸:鏡
💴座布団席 予約¥2,500 当日¥3,000 💺椅子席限定20席 要予約¥2,700
👪ユース¥500(25歳以下・座布団席・要予約限定5席・要年齢証明)
7/11(木)🕙午前10時より予約開始
問&予:📱080-5338-7331 桂米二予約センター(主に留守電)
📩PCメール・Yahoo・Gmail等はこちら g-yan@yoneji.com
📩携帯メール(docomo・ezweb・softbank等)はこちら yoneji.k-yoyaku.0906@ezweb.ne.jp
📶LINE 桂米二予約センター ID:hanashika_yoneji 🔎 08053387331
 3月に100回記念の会を開きました。100回超えは我ながらたいしたものです。
 ユース(25歳以下)料金のご利用は年齢証明できるものをお持ちください。
京都府立文化芸術会館

京都府立文化芸術会館地図


「ブログ見た」またはスマホでチラシの画像を見せていただいたら、予約料金にいたします。

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「猫の忠信」を初めて聴いたのはうちの師匠のLPレコード「桂米朝上方落語大全集」の第五集でした。落語そのものは面白いと思いましたが、歌舞伎をまだ知らなかったので、狐忠信と聞いてもピンと来ませんでした。落語はパロディなのに元を知らなかったのです。

その後、二代目尾上松緑、三代目市川猿之助という名優の歌舞伎や文楽の「義経千本桜」を観て、これが狐忠信なんや、と思った次第です。

ほかにもありました。「仮名手本忠臣蔵」の「一力茶屋の場」を観た時は感動の連続でした。

「これ、落語にあるセリフばっかりや」

妙な感動もあるものでございます。

噺家になって10年目だったと思います。「猫の忠信」を稽古してもらいました。これは三遍稽古ではなくて聴いてもらいました。聴いてもらってダメ出しをしてもらうという稽古です。三遍稽古は修業中だけで、独り立ちしてからは覚えてから聴いてもらうという稽古になります。言うときますが、これは3年間きっちりと稽古してもらってるからできることですよ。師匠は聴いてから一言。

「よう覚えた」

これは最大級の褒め言葉なんですよ。今、この噺で思うことは、できるだけ猫を可愛くしたいと思てます。ほんまは犬のほうが感情移入しやすいのですが……。私は犬派ですが、猫も好きですよ。

明後日は奈良で「猫の忠信」です。

  ☆9月2日(土) 15:00~ (開場 14:30)
第2回落語ライブ at Billy THE LIVE/🎶ライブハウスBilly THE LIVE
 奈良三条通 〠630-8236 奈良市下三条町2-1 Si-Ro三条 地下
 🚋近鉄奈良駅から南西へ徒歩5分 🚋JR奈良駅から東へ徒歩7分
「始末の極意」二豆 「金明竹」しん吉 「猫の忠信」米二
「楽屋トーク」米二×しん吉 「くしゃみ講釈」米二 糸:正子
💰予約¥2,500 当日¥3,000 👪ユース(25歳以下・限定5席・要年齢証明)¥1,000
7/11(木)午前10時より予約開始
問&予 ビリー予約ダイヤル 📱080-3807-8090(留守電)
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または桂米二予約センター 📱080-5338-7331(主に留守電)
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🍻終演後懇親会 ¥1,000(🍷ワンドリンク+🍘おつまみ) 🍸追加ドリンク&🍽フード別料金
 昨年8月に第1回。それからまる1年経って第2回です。
 昔から憧れていたライブハウスでの会ですから定着させたいと願っています。
 そのうち歌うかも?
Billy THE LIVE

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